カテゴリ「社会・政治・思想」の記事一覧

選択的夫婦別姓問題について ― 貧相な個人主義のなれの果て(Spotifyポッドキャスト解説付き)

夫婦別姓を、〈家庭〉より〈個人〉という思想で持って主張する人は、何を考えているのだろう。 たぶんそれは、性愛の否定でしかない。性愛の本質は〈子供〉を疎外化するというのは、ルソー的な自然主義やロマン派(ゲーテやノヴァーリス)の「内なる心」論に反して、ヘーゲルの考えたことだが(『精神現象学』、『法哲学』など)、その疎外の意味は、二人で一つという性愛の本質(子供)を言い当てている。 ...

「いま言われたことがもし本当なら、何度死んでもいい」というプラトンの言葉(『ソクラテスの弁明』)は、「かくあったか、ではもう一度」というニーチェの言葉に通じている。

死んだ人と、会わない人との違いはなんだろう。古い同級生などは消息不明だが、消息不明の人と死んだ人との違いはなんだろう。関心のない人と死んだ人との違いはなんだろう。アリストテレスに関心はあっても、会えなくて悲しいということはないし、親しい友人ほど会いたくないということもある。これらすべては、生死や実在とは何かという問題に関わっている。 動物も大概の場合、〝抵抗〟しない(反論しない)ことを思えば(動物も抵抗すると思う人は、大概の場合、自分の都合のいい抵抗をそう見なしているだけのこと)、死んでいるのと同じ。沈黙する恋人は、噛みつく犬より怖いに決まっている。 ヘーゲルもまた反抗するのが自意識をもった人間と動植物との違いだとどこかで書いていたが、死んだ(反抗しない)人間と動植物との違いはなんだろう。人は墓石に話しかけるように、犬に話しかけているとしたら。...

素数とパスワードと自己意識と。

結局、素数が因数を寄せ付けないとすれば、そしてそれが、デジタル社会の今日でのパスワードが存在しうる根拠になっているのだが、そしてパスワードとは、人間の〈私〉の唯一性の数学的な根拠であるとすれば、人工知能が〈人間〉になるかどうかは、素数の〈関係 function〉を見いだせるかどうかに関わっている。...

ver.2.0「シラバス論」序文 ― シラバス論が書かれなければならなかった四つの理由について

今年の11月刊行予定の書籍の「序文」ができあがりました(少し序文も長くなりました)。あとは、後書きだけです。 ※なお文中に表れる(●●●●●●)といった表記は、その直前の語句に降られる傍点を意味します。●の数はその直前に傍点が振られる語数と対応してます。ブログでは傍点を打つ機能がないのでこうなります。あしからず。 -------------- ●まえがきにかえて ― シラバス論が書かれなければならなかった四つの理由について 「シラバス論」。奇妙なタイトルを付けてしまったが、文字通りこの本は、「シラバスとはなにか」ということに一六〇,〇〇〇字(昔ふうに400字原稿用紙枚数で言うなら四〇〇枚)も書き込んでいる。たぶんこんなタイトルの本は、この本の前にも後にも出てこないだろう。それでも、この本については、「シラバス論」以外のタイトルは思いつかなかった。出版社が渋ってもゆずれない思いで、このタイト...

表現の成立について(メモ) ー 検索か、終わりか

いろいろな〈思い〉が、言葉の〈表現〉の〈より先に〉あるとすれば、〈表現〉の課題は、言葉の時間過程なのだから、〈思い〉の存在は、時間がかかる言葉の展開と絶えず矛盾する。そもそも時間をかけて繰り出した言葉の全体も、最後まで読まれないかもしれない。なにから言葉にすべきか、なにをもってピリオドを打つか、これは極めて人工的な(意識的な)行為だが、それも、〈表現〉が時間的なものとの戦いによって構成されているからだ。 そもそも、何をもって〈終える〉か、というのも、コンピューター(AI)には無縁の時間であって、コンピューターの本質は、やらせればいくらでも終えずにできることを本質としているのだから、ピリオドを打つという行為は人間に固有なことなのである。...

人工知能(AI)と機能主義の諸問題(1) ― 日経BPnet「ストック情報武装化論」連載(第五回)

人工知能(AI)と機能主義の諸問題(1) ― 人工知能ほど主体的で人間的なものはない。 ●機能主義と行動主義 ― 「内面」とは結果に過ぎない。 機能主義の基本モデルは、簡単に言えば、「パブロフの犬」の条件反射。刺激を与えると一定の規則だった反応があるというもの。 機能主義は英語のfunctionalismの訳だから、むしろ関数(function)主義と言った方がわかりやすい。「パブロフの犬」に於けるベルの音と犬の食欲を表す唾液は、関数関係にあるわけだ。 刺激(INPUT)と反応(OUTPUT)との間にある形式的な規則性が認められれば、その反応体(と取りあえずそう呼んでおこう)は何ものか「である」と。 機能主義は、どんな内容(=実体)がその刺激と反応を支えているのかは棚に上げて、刺激(INPUT)と反応(OUTPUT)というテーマ化された観察対象だけを基盤にして内容を逆構成するという離れ業を...

Twitterについて ― 日経BPnet「ストック情報武装化論」連載(第三回+第四回)

●Twitterとは何か(1) ― 電話からTwitterへ、あるいはポストGoogleの課題 Twitterの特長は、同期性だ。ブログやSNS、掲示板やチャットとどこが違うのか、とよく話題にされるが、Twitterは携帯電話の延長にあると考えて良い。 電話はもともとが同期メディアだった。「同期」というのは、発信者と受け手とが同時に存在しているということだ。話し手、聞き手が同時に〈そこ〉にいるという実在性が電話コミュニケーションの基盤をなしている。 ところが、電話の特長であるこの同期性が薄れてきた。留守録機能と着信通知機能(あるいは着信非通知)が電話の同期性を殺いでいる。おまけに持ち運びが手軽にできる携帯電話は同期という時間性だけではなく、場所の制約も相対化してしまった。 電話の同期性は留守録機能と着信通知機能によって意識的な選択の対象になり、自然な時間性(あるいは場所性)を回避するように...

吉本隆明全集(晶文社)第三巻「月報」 ― 「転向」について

●「転向」について (芦田宏直) 私は、吉本さんと個人的に対面したことは一度もない。私の家内が学生時代(今から四〇年ほども前)、吉本さんを神田の古書街で見付け、彼がどんな本を買おうとしているのか知りたくて追い回したことがある。 吉本さんは、いくつか書店を出入りする内に家内の尾行に気づき、早足になり、最後にはしつこい家内を追い払おうとパチンコ屋に飛び込んだらしい。家内もそれにめげず初体験のパチンコ屋に潜入し、裏口から出る吉本さんを追尾し続けた。...

バカな若者について-人材育成の諸課題(増補改訂版ver5.1)

「会えない時間が愛育てるのさ」と郷ひろみは言いました。歌のタイトルはまさに『よろしく哀愁』だったわけです。「哀愁」(OUTPUTのないINPUT)こそが〈育む〉ことの原理なのです。 まさに大学受験勉強などは、それゆえ、「哀愁」の勉強だったわけです。最近の若者は、「哀愁」に「よろしく」が付いている意味がわからない(中曽根臨教審から最近の教育再生実行会議までの教育思想の犠牲になっているとも言えますがhttp://www.ashida.info/blog/2014/07/post_429.html#more)。昨今のコミュニケーション論の対極にある言葉が「よろしく哀愁」です。 さて昨年12月29日の忘年会のこと。若い人のよくある勘違いに出会った。...

増補版・高校生のための進路決定ガイダンス ― 学歴と収入との関係について

7月10日に、とある私立高校の女子3年生100人にレクチャーした際に使ったパワポを再掲します。「男子の収入に子育てを頼ることができない時代」(この講演での私の再三のフレーズ)の高校生女子のために作った資料です。 ...

本日のテレビ出演(フジテレビ「新報道2001」)において、私の言いたかったこと― 「小保方問題」と「コピペ問題」について(増補版)

●「小保方問題」について 1)「小保方問題」ですが、これについては、まずは「ありえないこと」の発見を彼女は「ある」と下手な仕方であっても叫んだのだから(つまり、コピー疑惑以前に、明らかにみんなの疑惑を生む主張をしたのだから)、ちまたの科学者たちが、「ミューズ細胞」「OCT4」発光の勘違い説などでいまさら騒ぐのはおかしいということ。それほど(勘違いさえわからないほど)に理研や小保方さんや共同執筆者たちの質が低いというのなら、話は別だが。これらの事態は、いずれにしても論文発表以前の話だ、と私は理解している。...

「気仙沼はどうなっているのか」 ― 今頃、年賀状が書けました。

※この記事は2012年の年賀状を書き始めて、そのままになっていたものを、ふとしたきっかけで今頃書き終えたものです。季節外れの文体を我慢してください(笑)。ふとしたきっかけ、というのは、私の3月11日大震災のツイート集http://togetter.com/li/110551を昨日リツイートした方がおられて、そこに「気仙沼はどうなっているのか」という11日の私のツイートを見つけたからです。胸が締め付けられる思いがして、一気に書き上げました。 --------------- 昨年の紅白歌合戦(第62回紅白歌合戦)のテーマは「あしたを歌おう」だった。たぶんに東北震災(東日本大震災)を意識したものだった。 私がこの紅白で一番感激したのは、森進一の『港町ブルース』http://www.youtube.com/watch?v=ca5RkkKHwRw&feature=fvwrelだった(紅白中全曲平均点...

ANAグランドスタッフの接遇とキャンセル待ち予約システムの諸問題 ― 空港でのキャンセル待ち予約はほとんどあてにならない

1)昨日の19日木曜日、羽田12:00発伊丹行き便のキャンセル待ち対応について、羽田空港のGS(グランドスタッフ)たちともめてしまった。※保安検査場を通る前の搭乗受付カウンターGS二人。...

機能主義とメディアの現在-情報社会とデータベースと人間の死と(講演) ※補論:土井隆義の『個性を煽られる若者たち』における個性論

※この講演は「知的生産の技術」研究会(http://tiken.org/modules/news/article.php?storyid=66)の定期セミナーに呼ばれてお話ししたものです(昨年の12月13日、虎ノ門商工会館)。知研の八木哲郎前理事長とは、現在の理事長・久恒啓一さんとも長い付き合いで、生涯学習組織の理想的なモデルとでも言うべき活動を行ってきている会です。八木先生が師と仰ぐ梅棹忠夫の『知的生産の技術』(岩波新書)自体が「生涯学習」の宣言とでも言うべき名著でした。八木先生は梅棹の『知的生産の技術』をまさに“実践”されたわけです。そんな会のセミナーに呼ばれて(これで2回目の登壇ですが)、ちょっと張り切りすぎました(笑)。文字興しは八木先生自身がされて、それに修正・補筆を加えています。見出しはもちろん後から私が付けたものです。講演(トーク)に後付で見出しを付けていますので重複もありま...

13日日曜日朝刊全紙の福島原発に関する”専門家”の発言を集めてみました(これでほんとんど全部です)。

朝日、読売、毎日、産経、日経全紙から、集めてみました。識者の発言取材が一番充実していたのは毎日新聞、読売新聞。貧弱だったのは朝日新聞、産経新聞です。...

補論:女性とは何か ― 異性とは何か(私の女性学試論)

私の女性学(http://www.ashida.info/blog/2010/10/post_397.html#more)に女性からメール反応がありました。少し長いメールですが、わかりやすく修正して公開します。不毛な反応が多い中、私も勉強になりました。 1) 芦田さんの指摘した、女性が主体的に選べないから、“応募者”という限られた枠の中の男性から選ぶしかないということを、認めたくない女性が多い。女性の反発が多いのはそこ。...

【第二版】女性とは何か ― 女性にとって男性とは何か

以下の30講は、昨晩22:47:20から深夜の00:03:12まで約1時間20分にわたって(twitter上に)連続ツイートした内容です(http://ow.ly/2RGK2)。ひょんなことから、女性論の話になり、ちょっと本格的に、女性という性はどんな性なのか、男性とどこが違うのかを論じてみたくなりました。もちろん突然の主題でしたので、充分な準備をしていません(私の議論はほとんどフロイト論です)。しかも書き殴り(笑)。言い過ぎているところは読者の知性で修正しながら読んでみて下さい。※なお、この記事は最初にツイートした文言を、わかりやすさを配慮してかなり修正しています。 【女性について(1)】〈女性〉とは、最初に愛し愛された人間が〈同性〉である者のことを言う。反対に〈男性〉とは、最初に愛し愛された人間が〈異性〉であるもののことを言う。...

デザインとは何か ― デザインの哲学的意味論について

過日9月10日「デザインとブランドアイデンティティ」セミナー&特別講演会」http://ujipub.exblog.jp/13027928/で講演しました。上記のUstは、その模様です。デザインを特に意味論から論じてみました。 講義のUstは以下 ●http://www.ustream.tv/recorded/9468646 講義で使ったパワポスライドのアウトラインは以下。 ...

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