カテゴリ「映画・ドラマ・書籍批評」の記事一覧

『灰とダイヤモンド』と松本先生との〈コミュニケーション〉について(解説Podcast付き)

映画『灰とダイヤモンド』は、私が高校時代の「現代国語」担当の恩師・松本純(60年安保の敗北の戦士)が、私に「芦田、『灰とダイヤモンド』観たことあるか」と思い入れたっぷりに語っていたときはじめて知った映画。目的を失った人間の孤独が見事に描かれていました。思わず主人公マチェクの印象的なサングラスを真似て付けてました。 ...

吉本隆明全集の第37巻(晶文社版)と源氏物語と江藤淳と。

今日は忙しかったのですが、テーブルに置いたままになっていた吉本隆明全集第37巻(晶文社版)がふと目について(私もこの全集の月報を書かせていただいたが)、パラパラとめくってみたら、彼の入門書としては私には最適だと思われる「日本語のゆくえ」がこの巻には含まれていた。懐かしい。...

認知行動療法の考え方について ― 『代替行動の臨床実践ガイド』(北大路書房、2022)を読む。(解説Podcast付き)

わが大学の総合心理学部講師・横光健吾先生(専門は依存症と認知行動療法、公認心理師、臨床心理士)から献本されました(彼はこの本の編著者です)。レビューを書かないわけにはいかないね、と言ってしまったので(もう二週間も経ってました)、土曜日の今日とりあえず書いてみました。横光先生、遅くなって済みません。...

Netflix『メシア』を見た ― なぜ宗教にはペテロやパウロやユダみたいな周辺の人物が必要になるのか。(解説Podcast付き)

Netflix『メシア』。これは内容的に超大作というか問題作というか、最初みたとき衝撃を受けました(最近三回目をみています)。...

NHK朝ドラ『スカーレット』(2019)を今頃見ながら、〈昭和〉と高市政権とリベラリズムを考える(解説Podcast付き)

NHK朝ドラ「スカーレット」(2019)の主人公・川原喜美子(戸田恵梨香)は、昭和12年生まれ。私より17歳年上。 このドラマ、昭和の時代を辿る意味で、貴重な風物誌が展開するが、私の父親は昭和元年生まれ。敗戦時にはちょうど多感な青年だった。 戦争教育を受けて、占領軍の自由と平和の日本国憲法(歴史的には非軍事化の日本弱体化政策)という変遷を多感期に生きた父親は、一体その〈変化〉をどう思っていたのだろう。 父8歳で日本は国際連盟脱退。11歳で二・二六事件。15歳で大政翼賛会誕生。16歳で太平洋戦争開戦。父は、赤紙で召集されたが、出征の手前で終戦を迎え、戦争体験はない。 吉本隆明は大正13年生まれ。父の二つ上。要するに軍国青年という点では吉本と父は同じ時代を生きて、軍国教育と〝平和〟教育との矛盾を体験した世代。 なぜ、私は吉本の〈転向〉論には関心を強く寄せたのに、傍にいる父親に、その矛盾の襞を聞...

TBS『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(谷口菜津子原作)とラカンの「欲望とは他者の欲望である」ことについて

『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS、谷口菜津子原作)を見ていると、ジャック・ラカンが「欲望とは他者の欲望のことだ」と言った意味がよくわかる。...

今頃『海のはじまり』(2024)をみた ― 誰ひとり寂しくはなく、誰もが寂しい愛の物語。

この作品『海のはじまり』(2024)は、7歳の娘「海(うみ)」のはじまりが、それぞれの登場人物の中で、すこしずつずれて始まるということ、その複数の時間のずれたはじまりが共鳴し合ってドラマは進行していく。そして、登場人物のすべてが、それぞれのずれあう「はじまり」を有しているということだ。 ...

『ゆきてかへらぬ』(監督 根岸吉太郎)を観た ― 中原中也の愛した女

『ゆきてかへらぬ』(2025)を観た。監督 根岸吉太郎、脚本 田中陽造。 中原中也と長谷川泰子と小林秀雄が踊るさまだけでもみていてどきどきする。 中原中也の木戸大聖は全然ありだが、小林秀雄の岡田将生はちょっと違うと思う(ただし、煙草の吸い方は似ていた)。広瀬すずは熱演していたが、さすがに長谷川泰子を演じるのは無理。 しかし、小林秀雄に向かって「私の背中曲がっていない? …支え棒なしに歩いているから、かな」と、中原中也の焼却場の煙を背にして語る、広瀬すずのセリフはぞっとするほどの迫力だった。 小林秀雄もこんな女を前にすれば奈良(志賀直哉のところ)へ逃げるだろう。『本居宣長』を書けたのは長谷川泰子のおかげかも。...

『ヒア アフター』(2011)の二度目を見た。

あやしげなテーマを扱っているのに、こんなに心の温まる映画はない。ずっと前に観たことがあったが、Netflixがあまりにもつまらないので、名作を二度見するばかりの今日この頃。映画なんて、〝選択〟して見るもんじゃない。...

【第五版】『闇の子供たち』という映画を観てしまった ― 妻夫木聡が良かったが、何といっても圧巻は桑田佳祐の『現代東京奇譚』、そしてなぜか三田寛子の『初恋』を見つけてしまった�

なんだか訳のわからない映画を夜中に見せられた(見せられたと言うよりは見てしまった)。『闇の子供たち』(http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id329992/)という日本映画。梁石日原作の小説を映画化したもので、タイで横行する幼児売春、人身売買、生きたままの幼児臓器移植という、とても映画には馴染まないテーマを扱ったもの。...

『おくりびと』、今頃見ました ― 広末涼子のあの演技(笑顔)は一体なんだ?

『おくりびと』(http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id330042/)をTBSが放送していたので遅ればせながら見ましたが、広末涼子のひどい演技が目について作品を半分以上ダメにしてましたね。...

「自由に生きろと伝えてくれ、自分の人生を好きに選べと伝えてくれ」― 『あの日の指輪を待つきみへ』は、「約束」の映画だ(泣)。

こんなコメントメールが8日の22:39に突然舞い込んだ。8日の深夜2:48、漱石の赴任地・松山で書き込んだ昨日の記事(『あの日の指輪を待つきみへ』―一つの喪失の成就についてhttp://www.ashida.info/blog/2009/07/post_363.html#more)のものだった。...

『幸せのちから』 ― 最近鑑賞した映画批評(一挙20本)

離婚の不幸は、母親(女)が子供を引き取る。貧乏の不幸は男親が子供を引き取る。そして貧乏は家族をバラバラにする。離婚より、貧乏の方がはるかに不幸。 父親が家族のために仕事を探すというのは、実は不幸そのものの事態だ。 子供が不幸を何も感じることなく眠りにつくとき、父親は誰にも知られないまま孤独に涙を流す。家庭の幸せは、父親の孤独を浮かび上がらせる。...

映画『バベル』を観た ― 「危険のあるところ、救うものもまた育つ」(ヘルダーリン)

今頃、映画『バベル』を見た。 今年の4000字の年賀状で超高層ビル論を展開したら(http://www.ashida.info/blog/2008/01/post_258.html)、読者の1人から、『バベル』のラストシーンを浮かべました、と言われて以来、気になっていたからだ。賛否両論あるらしいが、この映画、悪くはない。...

家内の症状報告(111) ― 『ロレンツォのオイル/命の詩』

>Pさんへ おすすめの『ロレンツォのオイル/命の詩』、先ほど見終わりました。 映画的にはスーザンサランドンの迫真の演技が印象的でした(最初から予想していましたが)。この映画は難病患者(重い病気の患者)とその家族の人たち(あるいはおまけにお医者さん達)はすべて見た方がいい。TSUTAYAレンタルでもすぐに借りられます。...

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