本日から本格的なセッティングも終えて(まだ80パーセント程度だが)、鎮座在すAV基幹システム(写真上は名機DMR-UBZ1、写真下が今回買ったAVCーA110)。

このデノンの渾身のAVアンプ、はじめてサラウンドアンプで変化の大きい体験ができた。
私は、AVアンプについては、従来からパイオニアファンで、最新型が出る度に更新してきたが、5年ほど前から新製品が出なくなり、AVアンプからパイオニアは撤退している。残念。
そこでパイオニアからヤマハのRX-A3080に3年前に切り替えたが(リアルタイムに画像解析して音場設定を更新し続けるという画期的なシステムのサラウンドアンプ)、パイオニアとそれほど大きな変化はなかった。
サラウンド歴は30年にもなる私だが(私のサラウンドシステムの師匠は白百合女子大教授の故高島誠先生)、全部のスピーカーがきちんと鳴っている実感になかなか出会えていなかったのが、私のこの分野での悲しい経験。
しかし、今回初体験のデノン製アンプ(デノン110周年の記念碑的なAVアンプ)は、見事に12本(11+1)のスピーカーを鳴らしきって、30年目にして初めてのサラウンド体験。
高島先生は、オーディオは〈音質〉か、〈音場〉かという選択で議論がわかれるが、音場派が必ず勝つと確信を持って言われていた。
たしかに私のサラウンドスピーカーは、ピュアオーディオ用に比べて10分の1以下の価格の貧相なものでしかないが(そしてアンプのシステムもそれと同じくらい貧相なものでしかないが)、それでも部屋中で12本も鳴ればどんなピュアオーディオの〈音質〉より勝ってしまうこともしばしばだ。なんだか、音の世界は、視覚よりはるかに〈精神〉的であるために、奥が深い。
ピュアオーディオにお金をかけるより、サラウンドシステムに貯金を託した方が〝効率的〟かもしれない。
高島先生の時代には、〈音場〉創生がまだアナログだったためにこればこるほど音が悪くなっていったが、昨今のデジタル環境は〈音質〉派に〈音場〉派が勝つチャンスが増えていると言える。高島先生が生きておられたら、拍手喝采の時代になっているのだろう。
高島先生がサラウンドに関心をお持ちになったきっかけは、五味康祐のシステムをお聴きになったときらしい。素敵な音楽を聴きながら指定された場処で気を緩めて姿勢を崩したとき、五味康祐から、彼のお宝の真剣を高島の頬にこすりつけられて「なにしとるー、顔を動かすなー」と怒られたらしい。
スピーカーのセッティングがミリ単位で管理されており(それどころか、部屋の数々の置物の大きさ、向きに至るまで)、顔を傾けただけで、五味本人の目指した音とは異なるものだったらしい。
しかし、そんなシステム、本来の音楽鑑賞だろうか、と高島先生は思った。
そこから、彼の世界の名コンサート会場の音響測定の旅が始まる。どの位置にいても、理想的な音場で音を楽しめるための研究(上下、左右、前後の音響位相管理の研究)が始まったのだ。
私が狛江市の高島先生のお家に30年ほど前に訪れたとき聴かせていただいたシステムは、左右、上下、前後、どう耳の位置を動かしても、センターに定位する素晴らしいシステムだった。聖歌隊が何列並んでいるのかさえもイメージできそうな前後の管理も突出していた。
そこから、今回のAVC-A110。その高島先生が生きておられたら、なんと思われるだろうか。
