2004年11月に投稿した記事一覧

症状報告(62) ― 特技は難病

自閉症の少年なのに、音楽を一度聴いただけでピアノで再生できる(そんなニュースを日本テレビでやっていた)。森山直太郎の『さくら』をはじめて聞いて、「スペイン語だ」と言って(お父さんに「日本語だよ」と訂正されながら)、ピアノで弾きはじめ、二度目には「僕らは … 」と歌詞付きで(知らない日本語の歌を)歌い始めた(一回しか聞いていないのに)。〈世界〉がこの子には『音』そのもののように開放されている。たいしたものだ。 そばで(まだ充分立てないで)ソファで横たえていた家内に、「あなたには(こんなふうに世界に馴染む)特技がないの?」と聞いたら、「あるわけないじゃないの」と言われたのだが、その時ふと思った。「そうだ。あなたにとっては普通の人が滅多にかからない難病にかかっているのが、特技だよ。しかも国家認定の“特技”だから、すごいよ」。「いやだよ。そんな特技」。美しい自閉症児の再生のニュースがだいなしの夫婦...

症状報告(61) ― またまたまたまた「再燃」

今、また家内の病気の「再燃」で病院にいます。やはり、私の三日間の風邪がいけなかったのか。とは言っても、別に私の風邪が家内に移ったわけではなく、私の風邪に家内が気を使いすぎたのが原因でしょう。なんともガラスのシンデレラのような状態というのが(良く言えば)、この病気の特徴です。 私の風邪もほぼ治まり今週の火曜日の午後から学校へ出た頃から例の首の後ろの下あたり(脊髄のいつものところ)が痛いと言い始め、怪しい気配がありましたが、寒さのせいもある、ということで今日まで引きずっていたところ、足に脱力感が出始め、ダラッと力が入らなくなりかけた(この症状がいつもの再燃の兆候の決定打)、とのこと。急いで、自分でタクシーを呼び、管理人さんに手伝ってもらってタクシーに乗り込み病院についたのが15:00前後(私への電話は12:30。「今から病院へ行く」とのこと)。 ただいま点滴中です。ひざから下は動くそうですが、...

風邪で3日間寝込んでいました。

2週間くらい、しつこい鼻水が出ていて、先週の金曜日の午前中には、息もできなくらいに鼻がつまりはじめ、咳の痰が切れない。そして午後には、頭がぼーっとし始めた。「こりゃ、まずい」と思い、学校をお昼で早退。薬変わりに、隣の中華料理屋(新楽園)で、特製のマーボ丼(辛子とニンニクと山椒が通常の倍入っている)をママさんに作ってもらって、それを無理矢理お腹に詰め込み、早退した。 土日は、8時間おきに抗生物質を飲みながら過ごし、月曜日の朝は、まあまあの体調。いつものように準備して、一階のエレベータホールまで降りたが、降りた途端、体中がゾクゾク震える。「やっぱりまずいな」と立ち戻った。こういったときには、私はかなり臆病で慎重になる。こじらせると大変だ。 しかし折角身につけたスーツとネクタイと靴下がもったいない。服を着て外へ出たら、もうほとんど一日仕事をしたのと同じだ。これだけ選ぶだけでもかなり神経質になるの...

校長の仕事(16) ― 「美の根源は自然の中にある」

金曜日の一時限目の授業で、「美の根源は、自然の中にある」なんてことがサブテキストに書いてある授業に出会った。WEBデザイン科の授業だった。 本当かよ? と思いながら少し聞いていたが、もうその箇所は通り過ぎていて、「美は何も高級な芸術や美術館にあるだけではなく、普段の街中のあらゆるところに潜んでいる。ちょっと君たちが注意をすればいくらでも発見できる」としごくまっとうな話に進んでいた(これは先の「自然の中にある」というテーゼと実は矛盾しているが)。 しかし、「美の根源は、自然の中にある」は気にくわない。それは、私はそう思わない、という意味で気にくわないというのではない。美とは何か、というのは美術館の“高級な”美であれ、普段の美であれ(どちらも同じ「美である」ことに変わりはない)、長い間、問われ続けてきた問いだからだ。だから当然のこと諸説紛々。「自然の中にある」なんて、単に一つの意見にすぎない。...